失ったものを見据える
上記は、長年生きることに困難を抱えながら54才で発達障害と診断された方の記事です。読んで思いだしたのは、自分が感じた「失った時間は取り戻せない」ということ。
10代からうつがあり拒食が始まり、比較的早くから治療も受けていましたが、過食嘔吐が続いていた30代までの時間と人生を取り戻すことは不可能です。あるグループ治療の回で、「自分がそれまでに摂食障害のために費やしたお金を計算する」というのをやりました。治療費、食べ物代、生活面の失敗、民間のセラピー代など合わせると、考えるのもおぞましい金額になりました。
病気がなければ大学に行っていたかもしれず、職種の選択も違っていたでしょう。
ようやく毎日落ち着いて生活と仕事ができるようになったのは40才頃。何かを始めるのに遅すぎるというのは、現実には確実にあります。
私が摂食障害とうつ病からの回復に必要だったと思うことの一つは、この現実を正面から受け止めることです。失った時間もお金も戻らない。今、そこにいる地点から生きていくしかありません。
"頑張ればできるかもしれないこと"ではなく、現実にできることをやる。
幸か不幸か病気との格闘で疲れ果ててものごとへの関心が薄くなっており、人生に残された時間が減っているのは救いです。
夢や希望を持たない生き方を他人に勧めるつもりはありませんが、目を開いて現実を見るのは必要です。