「摂食障害治療のこつ」 下坂幸三著
2001年の本。同時期に出た「拒食症サバイバルガイド」(未読)と「摂食障害の解決に向かって」(既読)にも触れている。
「摂食障害の解決に向かって」には批判的。
(本はソリューションフォーカストアプローチの摂食への適用について書かれている。診断はあまり重要視せず、今現在と将来できることを問題にするやりかた。
これに対して下坂は、病気が治ったあとの現実的な展望を考えられるのは軽症者のみ、きっちりした診断は必要、10回のセッションで大きく改善した例などは、もともと病態が極めて軽い など)
昔、「思春期やせ症と家族」という本で「本症はすぐれて家族因性のものである」と書いたことを自己反省している。
家族療法的アプローチが不可欠と書いており、実際家族療法に多くのページが割かれている。
「平凡恐怖」「回復恐怖」という造語を使っている。
具体的な面談の会話例が豊富で、失敗例もあり。
(死亡例については記載なし)
多くの治療者が参考にしたのだろうと思いながら読むと感慨深い。
(30数年前に順天堂で下坂先生に診てもらって病院の紹介を受けたことがあるが、一度だけしか会っていないので場面の記憶はない。)